『カホンの選び方ってわからない!』
いざカホンを欲しいと思って楽器屋に訪れてみても、大手楽器屋ではカホンが数十台ずらりと並べられていることも。
多すぎて決められない!と困惑してしまうことでしょう。
筆者自身、カホンのオススメの選び方は「直感」だと考えています。
ただ、その直感がでどう選べばよいのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、色んなメーカーのカホンを演奏してきた奏者の目線から
選び方のコツを6つに絞って紹介していきます。
参考になれば幸いです!最後まで読んでみてくださいね。
この記事の内容
- 楽器だからこそ!音でカホンを選ぶ
- 身体を大事に!大きさでカホンを選ぶ
- 大きな違い!響線でカホンを選ぶ
- 種類が多すぎる…!?素材でカホンを選ぶ
- 一目惚れ大歓迎!見た目でカホンを選ぶ
- 好きなプレーヤーが使っているカホンを選ぶ
- (補足)実際に店舗で買うのがオススメ!
楽器だからこそ!音でカホンを選ぶ
楽器ですので、音が一番大事、っていう考えを持つ方も多いと思います。
カホンの音は千差万別。同じ高音、同じ低音と言っても様々な音があります。
高音はパキっとした明るい音がいいのか?
低音は優しい音がいい?
力強いのがいい?
などなど…言葉では形容するのには限界があります。
実際に叩いてみましょう。そして、なんとなく「いいな~」と感じることがあるかもしれません。
そのインスピレーションで選ぶことが重要です。
筆者としては、鳴らしたときにどれだけ音の余韻があるか、店舗の中で音が反響するのかという部分に着目しています。
日本全国で演奏、講師活動を行うパーカッショニスト、大久保宙さんによる
カホン25台の音色を聴き比べてみよう!という動画です。
こんなにも音が違うのか!と感じて頂けるものになっています。
身体を大事に!大きさでカホンを選ぶ
たて30cm、よこ30cm、高さ50cm前後が日本で多く流通しているカホンの大きさとなっています。この大きさに近いものをオススメします。
極端に身体のサイズに合わないものを叩き続けることは身体にとって大きな負担になります。身体は資本ですからね!
子供向け、低身長の方向けのカホンも販売されています。
主に140cm以下の方は一回り小さいカホンがいいでしょう。
https://www.schlagwerk.com/en/products/cajons/kids-junior-cajon/tiger-box/
大きな違い!響線でカホンを選ぶ
「ひびきせん」と読みます。日本で売られているカホンのほとんどにおいて、中に響線が入っています。
この響線が入っていることによって、ジャッとした聴きなじみのある音が鳴るのです。
響線にはスナッピー、ギター弦の2つが使われています。
スナッピーは小太鼓(スネアドラム)の後ろに張られている、20~42本のワイヤーの集合体を指します。小太鼓のサウンドのようなバズ音を出しやすい印象です。
ポップスやロックなどで、しっかりとビートを刻みたい!という方には扱いやすく感じるはず。
ギター弦を2~16本張っているカホンもあります。多くが自身で弦の張り具合を調整することが可能。スナッピーに比べて自分の求めている音を会場や音楽性によって対応させることができます。
ポップスやロックは勿論、繊細さを求められるフラメンコやジャズにもしっかりと実力を発揮してくれます。
カホンの成り立ちを辿っていくと、このギター弦が張られたカホンがスタンダードと考えられます。
種類が多すぎる…!?素材でカホンを選ぶ
カホンにはそれぞれの面に対して様々な素材が使われています。
あげるとキリがありません…
また、この素材を使っているから絶対にいい!というものでもありません。
保存環境や内部構造、打面の薄さなどにも大きく左右されます。初めてカホンを買う方はあまり重要視しなくていいでしょう。
ここではベタな素材、レアな素材を3つずつ紹介しておきます。
バーチ
https://www.arcocajon.co.jp/p/item-detail/detail/i1.html
カバノキ(樺の木)とも呼ばれる広葉樹で、やさしい木目が特徴です。
目が詰まっていて加工がしやすいことから、家具やフローリング、天板や床材など、様々な用途で使われています。
カホンにおいても安価、高価問わず多くのカホンで採用されています。「カホン作るならバーチしかない!」と仰るカホン職人さんにも出会ったことがあります。
ビーチ
https://www.schlagwerk.com/en/products/cajons/cajon-2inone/nature-size-m/
ブナ(山毛欅)とも呼ばれる広葉樹で、白っぽい見た目で強度が強く曲げ加工に適しているます。北欧家具やアコースティックギターに多く使われています。
明るめの音色で高音から低音まで出やすいことから、初心者向けカホンにも多く使われていますね。
シナ合板
ベニヤ合板と言い換えると聞いたことがある方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか?木の丸太を薄く剥いた板(ベニヤ板)を接着剤で何層も重ねたものです。ホームセンターでよくみかけるものです。
軽くて加工がしやすいことからDIYにおいてもよく使われます。自作でカホンを作ってみた!なんて方はおそらくこのシナ合板を使われた方も多いはず。
ヒノキ
https://koshikari-cajon.com/item/90/
多くの自治体がシンボルとしたり、東大寺や伊勢神宮など、日本の木造建築を古くから支えてきた高級材。ヒノキ独特のいい匂いは安心感がありますよね。
このヒノキを贅沢にも扱ったカホンが国内には存在しています(三重県にある越仮カホン)。実際にヒノキのいい匂いを感じることが出来ます!
アクリル
木材ではありません。プラスチック製のアクリル板もカホンの打面に使われることがあります(長野県のCHAANY)。比重が1.2とビーチ、バーチよりも重く、重厚感のあるサウンドが特徴。
音粒がはっきりしているので指を用いる奏法でもしっかり反応してくれるものが多く、唯一無二のサウンドを持ちながらも様々な場面で使うことができます。
ローズウッド
https://www.watanabe-mi.com/digikan.php/list/c1539/p98505/
ギターやオーボエ、マリンバなどの楽器にはローズウッドが多く用いられています。中でもハカランダと呼ばれるブラジリアン・ローズウッドはワシントン条約の絶滅危惧種に指定され輸入できません。
条約制定前に輸入し、日本国内で製作販売されているメーカーがあります(京都府の遼天カホン)。
スイートスポットが少なく初心者の方には扱いにくいものの、どの音域でも柔らかくもはっきりと主張してくれるサウンドが出ます。
磨くと美しい光沢が出るのも相まって高級感が漂いますね。
一目惚れ大歓迎!見た目でカホンを選ぶ
カホンを買う決め手として大きな要素になります。
「音に対するこだわりは全くない!」なんて方は見た目で選んだっていいんです。面食いだっていいんです。
本記事では多くのカホンとは見た目が異なる、私が「かわいい!!!」と思った推しのカホンを4つ紹介します。
ABueno PERCUSSION Serie Maestre- SEATA
https://atempojapan.shop-pro.jp/?pid=142582365
はい。この打面。めちゃくちゃ可愛くないですか?
スペイン、アンダルシア地方の建築に見られる模様をモチーフにしたものだそうです。
ABueno PERCSSIONはアンダルシアに拠点を置くフラメンコカホンのメーカーです。カホン職人による手作りのカホンとなっています。
指で表現する演奏に非常に向いていて、フラメンコに最適。ポップスやジャズ、フラメンコやラテンなど様々な音楽にも対応します。
LP Matador® Whiskey Barrel Tumba Cajon
https://moridaira.jp/posts/lp-cajon-m1406wb
四角形ではありません。樽型です。ウイスキーバレルを想定したデザインとなっています。
LPはアメリカ発のパーカッションメーカー。カホンのオススメを探したことがある方ならAspireシリーズに当たったことがあるはず。
LiME Cajon ホールツリーミニ
パステルカラー。この色味はなかなか他のメーカーでは見られません。そして面白いのが側面という概念がないのです。タテに長い4面全てが打面としての役割を果たしています。
「とにかくカホンで色んな音を鳴らしてみたい!」という方には遊び感覚でカホンを楽しめるのでオススメ。
越仮カホン プロフェッショナルモデル(ねこと金魚)
https://koshikari-cajon.com/item/182/
ねこ好きのあなたに打ってつけ!打面にはねこと肉球のペイント、側面には肉球型のレバーがついています。中に張っている響線を調節することができます。背面のサウンドホールも肉球型。
藍色の部分に三重県尾鷲産のヒノキが用いられています。先述した通り、ヒノキのいいにおいも感じることが出来ます。
好きなプレーヤーが使っているカホンを選ぶ
好きなミュージシャンがカホンを叩いているのを観て欲しくなった方もいると思います。そんなあなたはその好きなミュージシャンが使ったカホンのメーカーを買うのも決め手になるはず。
ねぎ(Novelbright)
大阪発の5人組ロックバンド、Novelbrightのドラム・カホン担当のねぎさん。全国各地バンドで路上ライブを行い、力強い演奏するその姿が多くのお客さんを引きつけています。
ねぎさんはスペインのカホンメーカー、La Rosa Percssion(ラ・ローザ・パーカッション)のカホンを使用。スペイン国内でもフラメンコカホン奏者の間で多く使われていて、高音低音のバランスが非常に良いモデルばかりです。
中でもBasicモデルは打面が3mmのバーチと初心者でも鳴らしやすいモデルとなっています。
Tomoya(ONE OK ROCK)
言わずと知れた日本を代表するロックバンド、ONE OK ROCKのドラム担当のTOMOYAさん。ONE OK ROCKのアコースティック形態での演奏ではカホンを叩かれています。
使われているのは大阪の川本楽器工房のカホンを使用。元々クラシックギターを製作されていたメーカです。
日本を代表するクラシックギターのメーカーでもあります。音、響きに対する探求心がものすごく、数多くの国内のカホン奏者からも評価が高いのです。
仙道さおり
葉加瀬太郎さんやカシオペアの野呂一生さんなど、様々なミュージシャンと共演されている国内を代表するパーカッショニスト、仙道さおりさん。
カホンに関する教材で仙道さんのお名前を見たことある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
仙道さんは北海道のDECORA43(デコラ43)のカホンを使用。国内きっての老舗メーカーで、プロ仕様のカホンを長年研究、製作を続けています。
確立されたデコラサウンドはドラムやジャンベといった皮を用いる太鼓にも匹敵する素敵な音になっています。
ちなみに筆者は「このメーカーを使い続ける!」ということをしていません。その日に演奏する音楽性によってカホンを変えています。普段はスペインのMEINL、DGを用いています。
(補足)実際に店舗で買うのがオススメ!
冒頭でも書きましたが、通販よりも実際に楽器店で試奏して購入するのをオススメします。
同じ種類・モデルのカホンであっても、音が違うということもしばしば。
通販限定のモデル等もありますが、現時点で所持しているカホンとはまた違ったカホンが欲しい!と思った際に購入するのをオススメします。
まとめ
今回は色んなカホンの選び方の基準を紹介しました。
この時点で少しずつ、欲しいカホンが少しでも絞れていたら幸いです。
文章ではこのような基準での紹介になりましたが、
一番の決め手になるのは「直感」だと思っています。
「これがなんかよさそう!」という直感を抱いたとしたら、そのカホンを買うのが一番よいかと思います。
バイオリンやピアノ等と比べて特段高い訳ではないので、ぜひあなたの直感を信じて手に取ってみてくださいね。